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文/植木 務(上越市大島区田麦在住)

[2010年12月10日]

<樹間の青空/初冬のひととき>
 裏山の林床は日毎に色を変えていきます。落葉の頃は地面を覆い尽くして一面が派手やかな黄紅葉の絨毯でした。今は枯れて乾いて落ち着いた赤みを帯びた褐色になりました。その上を歩くとカサカサと乾いた音がして、埋まった靴のつま先に、ヤブコウジが小さく真っ赤な実を覗かせます。目を上げると、葉を落とした木々の枝先の背景に雲一つない紺碧の冬空が輝きます。

<6役 揃い踏み/何時でも来い!= 巨人の話>
 また冬。雪道は怖い。車は低速で慎重に運転しても不測に動く。毎年怖さを味わうのだが「生活の足」なので欠かせない。集落の道は任せておけと強力な助っ人= 除雪巨人が、深夜からの出動に備え準備万端整って、頼もしく出番を待っていました。今冬も宜しくお願い申し上げます。
(写真は、12月5日撮影/板山、2台は別駐車場。大島村≒20台稼働)

 

<秋・冬・春/フユノハナワラビ/シダ植物>
 冬の青葉はお馴染のハナワラビ、近くにありました。季節の僅かな隙間を縫って地道に堅実に生えていました。緑の栄養葉はワラビに似て、直立した茎は叩くと胞子を煙らせます。周りの草が枯れ、傾いた陽が地表に届く春先迄が彼らの天下です。当地では、暫くすれば雪に埋もれたまま春を待つ事になります。殊更厳しい季節を選んだ種。数億年を生き延びてきた植物達の知恵は多様でしたたかです。

 

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