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文/植木 務(大島村田麦地区在住)

[2001年2月25日]

<雨水(うすい)>
 今年の「雨水」は2/18でした。この頃より降る雪が雨に変わってくると云われる節気です。暦どうり翌19日は終日「雨」でした。2月が一番寒い様にもいわれますが、中旬にもなると、随分と日も延びて、お日様の位 置も目に見えて高くなり、日差しも眩しさが増して来るのが解ります。3月に入ってからでも一晩で4、50cm降ることも何回かは有りますが、でもここまで来ると降り続く心配も少なく、降っても大した事はないだろうという安心感が出てきます。

 関西に居た頃は「大寒」「立春」・・と云われても、実際の季節感が伴わないので、昔からの言い伝え、年寄りの語り口くらいにしか感じていなかったものです。しかし当地では、この節気の呼び名と実際の季節の移り変わりとが実に良く符合します。こちらに来てからは毎年そう思います。

<田麦の雪祭り/2001>
雪舞台 24日、予報の雨が小雪に変わり終日降り続いた絶好の雪遊び日和でした。大都市の雪祭りの様な大仕掛けや大観客のイベントではありません。全て近隣4部落の人々だけの手造り祭りが特色です。
 フィールドや雪舞台作り(「庄屋の家」の校庭程の広場)には、ユンボ2台、ブル3台、除雪機1台が稼働、5基の雪像作りには男女70人くらい(勿論私共も)が参加、当日の午後の2時間程で全てを作り上げました。

 夜は舞台と会場までの道路脇には数百の雪中のキャンドルホールにも灯がともり、俄ずくりの出店も開店します。今年も又、男は女装、女は男装の「踊り子」として私もミニスカート、ブラウスに口紅をつけて貰い、30人程のチームで出場しました。曲は「ドリフのズンドコ節」。「2晩の練習の努力」と「参加する事の意義」と「本番の不揃いのギャグ」が成果 でしょうか。フィナーレは恒例の部落民提供の打上花火にナイヤガラ瀑布の光と音と煙の饗宴でした。
 村内、上越、川越、御殿場などからの観光客も散見されました。

<週休二日>
 この3月から会社の就業体制が週休2日になります(10−12月を除く)。年間就労日数250日、休日日数115日、始業8時、就業17時、勤務時間7.5時間/日となります。
 いままで週休2日でなかったのか、といぶかわれるかも知れませんが、そうなのです。一日中の立ち仕事力仕事で、分刻みのスケジュールに追われるラインワークですので、休憩時間が短縮される事はマイナスですが、そうしてでも休日が今迄よりも増える(18日)ことの方が有り難いです。体が休まるからです。

 全国的に見ても新潟県は富裕県ではないでしょう。週休2日でない企業は村内では珍しくありません。しかし当地でも風向きが変わってきた感がします。連続5日の休暇を法的に規定する事を検討している政党も有ります。
 デフレ懸念が囁かれ始め、生産消費のサイクルの改変が必須となり、情報の量 速度が激変してきています。なにやら生活のパラダイムが軋め始め、旧来の「新しい幸福観」への回帰の鼓動が聞こえる様にも思えます。


<春三月>
 春が近ずくと、春三月という言葉が想い浮かびます。そして「春三月」の詩歌を想い出します。
     ・・・・
     わが愛する者の墓に、
     柳の木を植えよう。
     秋風さらさらと吹けば、
     葉ははかなく空にとぶが、
     春三月の日をうくれば、
     青き葉は羽衣のごとく、
     細き葉は小舟のごとく、 
     わがたましいを飛翔させて、
     愛する者の国にみちびき、
     復活の希望に息ずかせる。
     ・・・・
                   矢内原忠雄  「春三月」 より

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